禁欲(セリバシー)をする多様な理由。自分の意志で性欲を抑える?

禁欲(セリバシー)
人生に有益な影響を及ぼすと信じて本人が選択して行う「禁欲」の背景には、それぞれに様々な理由が。

えみこ
えみこ

ジャスティン・ビーバーが、現在のパートナーであるヘイリーと結婚するまで、約1年半にわたり禁欲生活を送っていたのはご存じでしょうか。ジャスティンは「神をより近く感じるため」という理由で自身のセックスライフを見直したそうですが、そのような宗教上の理由だけでなく、さまざまな理由で禁欲する人が増えているのだとか。

禁欲する理由やその意義、心身にもたらす影響などを、専門家の解説を交えて詳しく書いた記事を見つけたのでご紹介します。

「禁欲」の意味って?

そもそも「禁欲」とは、本能的な欲望、特に性欲を抑えることを意味するそう。禁欲の手段やその理由は人それぞれですが、ここで重要なのはいずれも“自由意志”で禁欲を選んでいるということ。

一方で、「インセル(不本意な禁欲主義者:Involuntary Celibateの略)」という、自分は本当はしたいのにも関わらず、女性とセックスをする機会を“奪われている”と考える異性愛者の男性を意味する言葉も存在しています。女性をモノのように扱う思想に基づくため、ミソロジー(女性憎悪)や、ハラスメント、暴力につながるという側面から問題視されています。

もうひとつ、MGTOW(Men Going Their Own Way:自分の道を行く男達)と呼ばれる集団も。彼らは、結婚や女性とのかかわりなどのある社会は男性にとって有害であるという思想を持ち、そういった社会とは距離を置こうとする反フェミニズム集団とも言われています。

あくまでもこの記事で紹介する「禁欲」とは、自発的なものであり、人生に有益な影響を及ぼすと信じて本人が選択していることを改めて強調しておきます。

禁欲に関する誤解

禁欲は英語で「セリバシー(celibacy)」と言われています。セリバシーと似た言葉には、「アブスティナンス(abstinence)」もあるそうで、共通する部分もあるものの、厳密にはそれぞれの意味は異なるとも。

「アブスティナンスという場合、挿入を伴うセックスをしない選択を意味します。一般的には“結婚するまで”など、特定の期間に限られます」と説明するのは、セックストイなどの販売を手がける「Lovehoney」のセックスおよび人間関係の専門家であるアナベル・ナイトさん。

「禁欲」や「節制」といった意味であるものの、「一時的な禁欲」に近い感覚があるのだそう。

ただし、セリバシーであることを選んだからといって「永遠にセリバシー」、「永遠に禁欲主義者でいなければならない」わけでもありません。たとえば、過去にセックスしたあとで禁欲することも、禁欲した後で再びセックスすることもあるのだとか。

それから、禁欲中でもマスターベーションは可能。多くの禁欲者はこのことを重視しているそうです。

禁欲(セリバシー)

禁欲する理由

禁欲をする理由はさまざまで、禁欲に見いだす意義も人によって異なるそう。ですが、どのようなケースもその人なりの理由があって選択している、ということを忘れてはいけません。

宗教的な理由

修道士、尼僧、司祭など、聖職者の中には、禁欲を貫くことを誓う人々も。また聖職者だけでなく、「宗教を信仰する人々が禁欲することもあります。その場合、より高位の力を近くに感じるためだったり、神との関係を深めることが目的です」と話すのは、「Harley Therapy」のディレクターを務める精神療法士、シェリ・ヤコブソン博士。

セックスに関連した理由

性生活が不健全になった、あるいはセックスから離れる必要があると感じることも、禁欲のきっかけになる人はいます。この場合はいったん立ち止まってみることで、人生におけるセックスの役割を見直す機会になり得るのだとか。

また、交際が始まったばかりの間だけ禁欲を選ぶという人も。その理由は、相手との結びつきを深められる気がするから、とのこと。

「相手を性行為以外で深く知ることができますし、肉体的な魅力と感情的な魅力を区別できます。特に、自分でもパートナーへの気持ちがよく分からないという場合に有効です」(アナベルさん)

禁欲中もパートナーとのつながりや、親密な関係を構築することはできます。

「親密な関係を築く方法は、セックスだけではありません。ハグやスキンシップで身体を触れ合わせたり、真剣な会話を交わすなどして、深いつながりを築く方法を試してみるといいでしょう」(アナベルさん)

自分たちで様々なアイデアを出し合えば、クリエイティビティも高まるかも。

セックス依存症に関わる理由

セックス依存症となった場合、あらゆる性行為から完全に距離を置くことで、依存症から抜け出せる場合も。「こうしてセックスとの関係を見直すことで、自分をコントロールできるようにするのが目的です」とヤコブソン博士。

アルコール依存症の人は治療後に二度とお酒を飲まない選択をとるのが通例ですが、禁欲をしたあとも一生続けることが必ずしも依存症から脱却するのに必要なことではないのだとか。セックス依存症の場合は、再び健全なセックスができるようになるケースも多いと言われています。

「自分の性行動が自分自身や他人を傷付けなくなるまでという、一時的な禁欲でいいとされています。それに、禁欲することが回復を促進する可能性もあり得ます」と、ヤコブソン博士は補足します。

自己成長に取り組むため

知らずのうちに、多くの人はセックスとデートに膨大な思考、エネルギー、時間を費やしていると言われることも。もちろん、セックスだってすばらしいこと。でも、なかには禁欲してその時間を自己成長に投資するのが有効だと考える人も。

「禁欲することで、力の高まりを感じられることもあります。というのも、人間関係やセックスではなく、より内面に意識を向けられるようになるからです。つまり、自己成長の実現に集中できるというわけです」(アナベルさん)

といっても、セックスをしているから力を感じられない、あるいは自己成長に取り組めないというわけではありません。

一方で、「生活をシンプルにして、自分にとってより大切なことに時間を使いたいから禁欲するという人もいるかもしれません。たとえば自己改善などです」と、ヤコブソン博士。また、キャリア形成、友人関係、家族により意識を向けるといったシンプルな理由という場合もあるでしょう、とアナベルさんも説明しています。

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